新解ぱくぱく辞典・オ

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オデン/オコワ/オカユ/オモユ/オジヤ/オムレツ/オハギ/オムスビ/オクラ/オレンジ/オリヅメ

【おがつくもの、おいしいもの】

 【オデン】を作る、とはどういうことなのだろうか。タネから全部手作りが本当なのだろうけれど、それはちょっと大変そうだ。オデンダネはスーパーで買ってくればよろしい。ではツユは。そのあたりが工夫のしどころであろう。

 もっと手軽な方法がある。スーパーであたためるだけのツユ入りのオデンを買ってくる。それをあたためればいいのだが、量的やタネ的にものたりない場合もある。そう言う場合は、別口でジャガイモを茹でたり、かた茹で卵を作る。またソーセージなんかを湯通ししておく。そうした嵩増し用のタネを加えて、じっくり煮込んでみましょう。半分手作りのオデンができる。ジャガイモがとろけておいしいよ。

 【オコワ】を家で炊く人はもうあまりいないであろう。なに、これはもうセブンイレブンの赤飯でもちゃんとしたオコワだ。ちょっとオコワが食べたいときにはこれで十分。ちゃんとしたお祝のときはそれなりにしたほうがいいでしょうけど。それでもお米屋さんに届けてもらえばいいのか。

 【オカユ】は炊飯器で炊けるはずだ。5勺ぐらいの米からでも結構な量のオカユができる。中国では朝はオカユらしい。オカユに腐乳をちょっとたらしたり、ピータンやザーサイと一緒に食べたら本格的な中華定食でしょう。揚げパンを落とすともっとそれらしい。サンフランシスコの中華街で食べた朝食はそんな感じだった。オカユを英語で porrige という。覚えておくと便利かもしれない。

 【オモユ】は水の量がもっと多くて、糊状となったものらしい。病人食として有名だが、食べた記憶はない。

 【オジヤ】は雑炊のことか。オジヤというとこれもちょっと病人食っぽいが、だいぶん回復してからの食事だろう。具もいろいろ入っているような感じがする。これは、食べた記憶がある。

 【オムレツ】は、もっともシンプルにして困難な料理とされている。でも、よくそれらしいものを作る。うまくできることもある。多少内部にどろっとした部分を保ったまま、きっちり焼けた外皮で覆ってしまう感じだろうか。

 【オハギ】は、たまに食べたくなるとスーパーマーケットで買ってくる。ちゃんとお惣菜のコーナーに4個入りのが置いてある。うち2個はこしあんのかわりに黒ごまあんだ。いくら甘党でも4個も食べるとげんなりする。

 ところで甘いアンコのお菓子をうまいと思うのは日本人ぐらいだという話を聞いたことがある。確かにアンコは日本独特なものかもしれない。ああいう黒くて甘ったるいものがパンの中から出てきても気味が悪いかも知れないが、ライスボールの周りを黒くカヴァーしてしまうのももっと理解を超えるものかもしれない。お茶飲めよ。番茶を。

 【オムスビ】かあ。街で買うのはオニギリだけど、今回はわりといつも食べるものが多くていいなあ。オニギリはまさにコンビニ文化の華だろう。オニギリはセロファンという梱包材に包まれて、安定感をもって弁当コーナーに不動の地位を占めている。アンコも黒かったけど、あのノリという妙なシートも黒いんだよな。しかも味はない(tasteless)だし。またもや西洋人には了解不能だろう。でもノリがないとオニギリはなりたたない。そのノリが、ドライタイプかウェットタイプであるべきかで論争がある。コンビニの主流はドライタイプだが、そもそもお弁当のオムスビは最初からノリに包まれている以上、ウェットにならざるを得ない。そこを重視する人々のために、ちゃんとウェットタイプもたくさん置かれている。さらに竹の皮に包んでみたり、形を変えたり小さくしてみたり、オムレツを巻いてみたりと本当にいろいろある。しかし、どんなオニギリも、母親が作ってくれたあの日の「オムスビ」には勝てまい。

 【オクラ】は実はかなり使いやすい野菜だ。そのまま輪切りに切り刻んでサラダにしてもいいし、納豆にいれてもいい。でも、他の調理の仕方をよく知らないな。切り刻んでそのまま食べるのが一番うまいのではないだろうか。しかしオクラってどこから来た野菜なんだろう。

 【オレンジ】はミカンと似て非なるフルーツだ。でも、やはり日本人の好みにあわせた品種改良はなされているようで、皮が薄く手で十分にむけるような小型のオレンジがけっこう見かけられる。日本のウンシュウミカンだってこれは一種の変わったオレンジには違いない。テレビを見ながら気軽に食えるのでTVオレンジと言われていたという話を聞いたことがある。でも、いちばん手軽なオレンジの摂取法は、ストレート100%のオレンジジュースを買って来て飲むことである。これで十分ではなかろうか。そういえば、北杜夫の『さびしい』シリーズの主役の王様がオレンジにこのうえなく執着される方であった。アメリカに渉ってからはオレンジジュースでももちろんOKだったようだ。

 【オリヅメ】はそれ自体食べ物ではないけど、日本的なものだと思う。なんかのパーティや宴会で出た食べきれないほどの料理が残って勿体無いので、誰かが「折りをください、持って帰ります」というとわれもわれもと折りを所望する。そうやって持って帰られたオリヅメの中の肉類や魚類は、なんかおいしいのである。ちょっと間違えると食中毒ものだと思うけど。今のオリヅメは100%ポリ容器だと思うが、ちょっと前までは経木の折りも結構出回っていた。もちろんこちらの方がそれらしいし、美味しいと思う。あれ、オリヅメってこうした持ち帰りのためのものだけじゃなかったっけ。オリヅメ弁当とかいうし、最初から折りに詰められたものもオリヅメかもしれない。でも私にとっては残り物こそオリヅメ。残り物に幸あれ。

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