新解ぱくぱく辞典・カ

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カキ/カズノコ/カツオブシ/カニ/カレーライス/カブラズシ/カマメシ/カツオ/カマボコ/カンヅメ/カッパエビセン/カッパ巻/カリントウ/カゲゼン

【嫌い嫌い、大好き】

 海の幸の【カキ】は好物だ。生はいいがフライはどうも、とかいう好みの人がけっこう多いようだけど、私は生だろうがフライだろうが、土手鍋だろうが全部大丈夫である。といっても、スーパーで売っているパック入りのものだと、いくら「生食用」と書いてあってもちょっとそのままは恐い。結局鍋が一番無難だと思う。土手鍋にしなくても、普通の鍋に入れるだけでも十分うまい。
 定食屋でカキフライがメニューに載るようになると、ああ秋だなあと思う。最近は一年中カキフライが食える店もあるみたいだけど。タルタルソースでいただきたい。
 カキの生食いは、サシミとかを食べない西洋の人もやるようだ。20個ぐらい一度に食ってしまう人もいるらしい。私はそんなにはいらない。

 【カズノコ】は苦手だ。食えないこともないのだが一きれより多く食したことがない。親などは不思議がる。私も不思議だ。あの独特の歯ごたえも、つけ汁を吸った味も、微妙に私の好みのポイントを外している。相性が悪いと言えばいいのだろうか。

 【カツオブシ】は今はどこでも小分けしたパックを使うと思う。でも幼い頃は家に削り箱があった。抽き出しの中にとても食べ物とは思えないカツオブシの本体が黒光りしていた。カツオブシをかくときの香気はとても良かった。今はそういう香りはどこに行ってもない。パックのカツオブシからは何も香らない。復活が望まれるものだ。こんなところまで全面合理化してしまうことはない。なんか急に「本体」と削り箱が欲しくなってきたぞ。どこに行けば買えるのだろうか?

 【カニ】については、別項でも述べたように、それほど好きなものではない。以前、北海道直送のカニを食う会という宴会にたまたま出て、そこでおいしいカニもあると知ったので、嫌いではなくなったが、以前はむしろ苦手であった。カズノコといい、「か」のコーナーに否定的な項目が2つもあることは遺憾に思う。思うこともないか。例外としてカニミソはとても好きです。

 【カレーライス】は、今回の他の否定的な項目を帳消しにするぐらいの好物だ。って、カレー好きと公然と書くのが多少恥ずかしいのはなぜだろう。ガキっぽいからか。
 私の年代は、幼い頃から箱入りの板チョコタイプのルーが出回っていたので、よく私よりも年上の年代の方々が懐かしがるような、エスビーのカレー粉とメリケン粉を使った、黄色の強いカレーはあまり知らない。いまだに一部の喫茶店などでは、妙に味気なくって、汁にメリケン粉の糊気が強くする「業務用」カレーが出てくることがあるが、もしかしたらあれが昔のカレーの味に近いものなのだろうか。
 インド料理としてのカレーは「カレーライス」と呼ぶには躊躇があるので触れない。タイカレーも同じ。両方好きだけど。でも、家で作るときには、日本風のルーは使わず、インドカレー風の香辛料を大量に使ったカレーペーストを使う。つぶしトマトを多めに入れて酸味を出すのがコツだ。そうすると、日本のカレーライスとインド料理のカレーの中間ぐらいのものができる。ガラムマサラなどをさらに加えて辛みを強めるのもよい。これは我ながら複雑玄妙な味わいで、うまいと思う。

 【カブラズシ】。未食。原文を読む限り、大変うまそうだ。北陸地方のものらしい。インターネットで情報検索しようとして困った。カブラズシ、かぶらずし、蕪寿司、蕪鮨、かぶら鮨、かぶら寿司、どれで検索すればいいのだろう。

 【カマメシ】といえば駅弁の峠の釜飯を思い出す。横川の路線はとうとうなくなってしまったようだが、駅弁は残っているのだろう。カマメシは、あのカワラケの釜が手に入れば、いちど自分で作ってみたいものだ。いやなんか工夫すれば自分でもあの程度のものはできそうな気がして。

 【カツオ】のたたきは大好きである。たたきっていうのはちょっと表面を焼くということなのだろうか。切り身の表面に浮き出た脂に反射した光が七色に見えたりする。これがうまそうに見えるのはカツオのたたきぐらいだろう。ポン酢につけて、オニオンスライスをツマにして食いたい。初カツオは高いのだろうけれど、たくさん食いたいものである。

 【カマボコ】って、いわゆる板ワサは、好きでもなければ嫌いでもない。本場モノのササカマボコは大好きであるが。この間、仙台にいる知り合いに送ってもらったのだが、チーズ入りだのなんだの、いろんな種類がある。どれもおいしい。

 【カンヅメ】は好きと言えるものなのだけど、今は定番のものばかりで種類が少ないのではないかと思う。すぐに手に入るものといえば、サバ缶、シャケ缶、サンマ蒲焼き缶、牛肉大和煮缶、クジラ缶、ソーセージ缶、コンビーフ缶、スイートコーン缶、グリーンピース缶、ホールトマト缶、カレー缶、うずら卵缶、パイン缶、モモ缶、みかん缶ぐらいのものか。いや、こうして数え上げてみるとけっこうあるかな。リングプルのついたイージーオープン式のものもいやいやながらカンヅメと認めると、もっとある。シーチキン缶とか。缶ジュースだってよく考えればすべてカンヅメである。
 でも、昔はもっともっといろんなものをカンヅメにしていたのではないか。たとえば、内田百間(正確な字ではない)が好きだったという福神漬の缶というのは私は見たことがない。カンヅメよりも効率の良い包装方法ができたからなのだろうけど。ポパイが食べているホウレンソウの缶も見たことがない。幼いころ、ホウレンソウは食べられなかったが、ポパイの持っているカンヅメは欲しかった。
 カンヅメといえばカンキリだが、最近主流と思える、栓抜きとワインオープナーが一緒になった、長くて胴を握るタイプのやつっていつごろからあるのだろうか。昔のカンキリは小さくてあけにくかったように思う。また、ネジを巻くタイプの、切り口がギザギザにならないアイデア商品もあった。なんか、「アメリカ」って感じがしたものだ。それとも本場は電動式なのだろうか。

 【カッパエビセン】といえば「やめられないとまらない」。名コピー中の名コピーだ。やめられないのモトは、塩気と油気と香気であろうか。それに歯ごたえのよさであろう。このパターンさえ守っていればいくらでも商品開発は可能だと思う。いまだにカッパエビセンがどこに行ってもあるのはみごとというほかない。個人的にはピーセンの方が好きだったりするが。

 【カッパ巻き】。これは、定番の寿司ネタだ。しゃれたものだと思うし、安いのもいいのだけど、逆にそのおしゃれさが多少鼻につく。というか、わざわざ頼むものでもないという観念があるので、まず食べたことがない。でも、キュウリに罪はない。 カッパにも。私のあまのじゃくが悪いのです。

 【カリントウ】というコトバを聞くと、いつもなぜか一瞬コンペイトウとごっちゃにしてしまい、カリントウの実物を思い描くのに時間がかかる。お菓子の原型のひとつという感じがして、お茶にもあうし、嫌いではない。

 【カゲゼン】とは、妙なものでしめくくりである。赤瀬川さんは食べたことがないと言っているが、偶然なことに私もそうである。案外おいしそうなものだけれど。カゲゼン食わぬは男の恥と言うので、いちど食べてみたい。あれ、なんか違うか...

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