新解ぱくぱく辞典・エ

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エビ/エダマメ/駅弁/エノキ/エチゼンガニ

【エビカニ合戦】

 「う」よりも、さらに項目の少ないのがこの「え」の巻だ。しかも【エビ】なんてもう伊勢海老で出てきている。

 まあ、伊勢海老とエビは別物と考えてもいいかもしれない。それにしてもエビにはいろいろな大きさがあるものだ。桜海老のような小さなものから伊勢海老まで、ずいぶん差があるが、ふつうエビといって思い浮かべるのはどの大きさのものだろうか。寿司のエビが好きな人はちょうど寿司のネタになるぐらいの、あれは大正海老というのですか、あいつを思い浮かべるかもしれない。エビフライになると車海老というのか、けっこうでかいやつが出てくるかもしれない。

 そういえばエビフライってこのごろ食べたことないなあ。ときどき、コンビニの弁当でお目にかかるかな。ほんのりした味だ。タモリが名古屋人のエビフライ好きをからかったギャグが一世を風靡したとき、エビフライってそんなにおいしいもんだろうかと疑問に思った。いま思えば、みんな、エビフライなんてそんなにまでおいしいものだとは思っていなかったところに、ギャグが成立する余地があったのかもしれない。きっと、名古屋人の好きなエビフライは、巨大でまっすぐで、タルタルソースがかかっているやつだろう。

 そういえば、甘海老というのはいつごろから出てきたのだろう。寿司に載っている普通のエビはあまりうまいとはおもわない。しかし、甘海老はツルリとして柔らかく、食感もよろしいし、味も良い。もともと日本のものではないだろうと思う。誰か目端のきく日本人の商人が、甘海老なんか見向きもしないで捨てられているような地域で見つけてきて、ただ同然で買い付けたのではないだろうか。

 そういえば、カニには熱狂的なファンがいるのに、エビには眼がないという人をあまり見かけたことがない。

 【エダマメ】といえばビールだけれども、他の国でもそうなのだろうか。エダマメ自体はダイズだから、むしろ日本よりも外国の方がたくさんとれるだろう。ビールだってもともとはヨーロッパのものである。でも、ビールにエダマメというと、なんとなく日本情緒だ。それも、風鈴なんかが鳴っている夕方の縁側があっている。もちろんクーラーなんてありません。だんぜん湯上がりだ。湯がシャワーではなんとも味気ない。ひのき風呂とまでは言わないが、木の湯舟の風呂。これはぜいたくだなあ。ちょっと、この設定は今後の日本では無理でしょう。

 もちろん、そういう設定がなくたってエダマメはうまい。居酒屋だって、300円ぐらいでそこそこの量があってしのぎになる。スーパーで売っているような冷凍になっているやつだって、流水ですぐ解凍できるし、まずくはない。もちろん、泥付きの枝からむしったやつをようく洗ってあっさり茹でて、塩をぱらっと振ってすぐ食べるのが最高なんだろうけど。

 あのぷりぷりとした薄い緑色の柔肌がいとおしくてしかたがない。1個入りのさやと、2個入り、3個入りのそれぞれが存在しているが、個人的には1個入りのが一番おいしいような気がする。マメもなんか大きかったりするし。

 【駅弁】かあ。これもできれば、ローカル線でのんびり行きながら食べたいものだ。窓越しに買うなんてことはもうできないのだろうけれど。もちろん、新幹線での出張旅行だって、駅弁を前にしてまあちょっとぐらいいいいか、の缶ビールをあける瞬間ぐらいは、いまだに心ときめくものがある。

 駅弁と言えば、泉昌之の初期の傑作に『夜行』というマンガ作品がある。ニヒルなトレンチコートの旅人が、幕の内弁当をどんな手順で食っていくのが正しいかをうだうだ考察していく作品だ。だが、トンカツだと思っていたメインのおかずが実は・・・ということで悲劇のエンディングを迎える。こんなバカな話を劇画風に描いてもいいのだろうか、いったい、ということでもって世間に衝撃を与えた傑作である。未読の方はぜひお読みいただきたい。

 【エノキ】ってねえ。なにかエノキについて一家言を持っている人はいるのだろうか。スキヤキに入ってますね。で終わりじゃないか。エノキなどこの世からなくなっても一向にかまわない。エノキ農家だけは困るだろうけど。

 【エチゼンガニ】はカニの一種です。そんなことは誰でもわかってるか。どんなカニなのか、調べる気も起こらないが、越前というからには北陸地方でとれるカニなのだろう。それとも大岡越前と何か関係があるカニなのだろうか。加藤剛が好んだとか。そんなわけないな。

 先ほども述べたように、カニはエビと違って熱狂的なファンがたくさんいる。私には理解を超えている。カニってそんなにうまいのだろうか。まずいとは思わないけれども、ほかにだってうまいものはいっぱいあるだろうに。

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